皆さんの会社では、各部門単位でのROIを把握できる体制になってますか?そもそも、今後営業を何人採用するのか?開発を何人採用するのか?場合によっては人がだぶついているので、何人か部署異動でロールチェンジしようか?etc… 人事異動の時期や、次年度のプランニングの時期など、やんややんやと皆さん議論されていると思います。でも、その議論の根底をデータを元にして行えている企業はどれだけいらっしゃるのでしょうか?フィーリングとポリティカルな陣取り合戦のやりとりで組織設計をしていませんか?では、データを元にした組織設計とはどのようにすべきなのでしょうか?
部門を機能別に管理する
以前投稿した、”米国SaaS企業の一般的な営業組織構造とは” でも触れましたが、私の知る限り、米国のみならず、UK、フランス、ドイツ、オーストラリアなどの先進国におけるグローバルオペレーションは、Dotted Line ReportとSolid Line Reportを組み合わせた組織体系で成り立ってます。私の知る限り、ほとんど全てのグローバルITカンパニーはこのオペレーションですので、多分これがグローバルスタンダードなんだろうと思います。(間違ってたらスミマセン。。)では、なぜこのようなオペレーションになっているのかというと、これは全て部門単位でのROIを明確に把握するために行っていると行っても過言ではありません。一旦ここで、Dotted Line ReportとSolid Line Reportについて、今一度おさらいしておきたいと思います。
部門を管理するためのReport Line設計
前述した通り、グローバルカンパニーで一般的に取り入れられているDotted Line ReportとSolid Line Reportですが、それぞれ何が違うのかを今一度おさらいいたします。実は海外のグローバルカンパニーの多くはこの手法を取り入れて、部門最適化を図っているのです。
Solid Line Reportとは
Solid Line Reportとは、予算管理上とオペレーション管理上のレポートラインを指します。例えば、Global CTOの配下に、全ての技術リソースを集めたとします。世界中の技術リソースです。当然グローバルカンパニーですので、アメリカ本社で、世界30カ国でビジネスをしているなんて企業はたくさんあります。そしてGlobal CTOは、それぞれの国のためにどれだけのリソースをアサインするべきなのか?そして、SEにはどんな教育をしてどんなKPIを持たせるのか?開発にはどんな教育をしてどんなKPIを持たせるのか?それら全ての予算管理とオペレーション管理についての責任を持ちます。
Dotted Line Reportとは
では次に、Dotted Line Reportとは何なのでしょうか?これはビジネスを遂行する上でのレポートラインです。例えば、CTO配下のSEが日本のビジネスのために10人アサインされたとします。この場合、この10人のSolid Line ReportはGlobal CTOのラインなのです。しかしGlobal CTOが全世界の事情を理解した上での業務指示を出すことは不可能です。そこで登場するのが、Dotted Line Reportです。例えば、日本に日本のビジネスの総責任者がアサインされたとします。日本のビジネスはこの総責任者が全てコントロールしてますので、Global CTOのラインから派遣されたSE10人は、日々の業務はこの日本ビジネスの総責任者にDotted LineでReportしてビジネスを遂行するのです。
Solid Lineが部門ROIを管理する
このレポートライン設計を使うことで、それぞれのROIが明確になります。Solid LineがROIと業務品質を管理して、Dotted Lineがビジネスを管理するのです。日本ではよく事業部体制を執る場合があります。これはこれで、事業単位でのROIが見える化できるので良いと思います。特にそれぞれの事業部のビジネス形態が全く違う場合にはこの方が良いと思います。英語で言えばBU(Business Unit)ですね。しかし、同一ビジネスをグローバル展開しようとした場合には、日本支店とかフランス支店などに分けて管理してしまうと、会社全体としての全体像が見えにくくなります。なので、このレポートラインの仕組みをグローバルカンパニーでは活用するのです。しかし日本支店が巨大な組織に成長してきたら、日本支店が格上げされて、日本支店内だけでSolid Lineを管理するとこうことも起こります。しかし、格上げされた日本支店内でもこのSolid LineとDotted Lineの思想は生きていきます。全てはSolod Lineを明確にして部門ROIを正確に測るためです。
少々複雑でしたがご理解いただけましたでしょうか?この手法が全てであると申し上げるつもりはありません。しかし、気分と感覚だけでアサインメントを考えないことだけはお勧めしたいと思います。